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横田英史の読書コーナー

諜報の技術〜CIA長官回顧録〜

アレン・ダレス、鹿島守之助・訳、中公文庫

2022.11.30  4:14 pm

 CIA長官で日本の戦後政策の関与した著者が、冷戦時代の諜報に関するエピソードを紹介した書。1965年に出版された書なので情報の古さは否めないが、CIAやKGBといった諜報機関の行動原理を知る上で役に立つ。兄のジョン・ダレスは国務長官を務めており、当時の米国政治を知ることができる書である。ちなみに翻訳者は鹿島建設の社長・会長を務めた鹿島守之助というのも面白い。
      
 筆者は、KGBとの諜報戦、盗聴、暗殺、偽装、扇動、撹乱、偽造、捏造などの実際を次から次へと紹介する。自らの経歴のほか、米国情報活動の発展史やCIA設立までの経緯、スエズ動乱、朝鮮戦争、キューバ危機、ゾルゲ事件などもカバーする。筆者はソ連を「基本的冷血実際主義」と呼ぶ。本書を読むと、ロシアの性癖はソ連時代とまったく変わっていないと感じざるを得ない。
      
 「CIAとFBIは喧嘩をしている」「CIAは常に独裁政権を支持している」「CIAは米国の影の政治を動かしている」など、CIAに関する数々の神話(誤解)について釈明する章を設けているのは興味深い。本書は長らく絶版状態でアマゾンの古書市場では高値でやりとりされていたので、文庫本による復刻はとてもありがたい。

書籍情報

諜報の技術〜CIA長官回顧録〜

アレン・ダレス、鹿島守之助・訳、中公文庫、p.458、¥1430

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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