横田英史の読書コーナー
この国のかたちを見つめ直す
加藤陽子、毎日新聞出版
2021.11.30 2:51 pm
この書評で『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』や『戦争まで〜歴史を決めた交渉と日本の失敗〜』の著者が、毎日新聞に連載したコラムやエッセイ、書評を集めた書。筆者の歴史学者としてのスタンスがよく出ている。2010年からの連載を集めているが、さほど古さは感じない。ちなみに、著者は日本学術会議の名簿から外された6人の一人である。
筆者は、国家と国民、東日本大震災、天皇と天皇制、戦争の記憶、世界と日本、公文書管理、危機の時代に必須とされる政治指導者の資質といった切り口で持論を展開する。「自国に直接利害のある問題には熱心だが、世界の苦楽には我関せずと冷淡な日本人」などと苦言を呈する。
歴史家とは「複雑さの中からパターンを探し出す人」、「歴史は繰り返さないが韻を踏む」とも言われる。本書を読むと歴史を学ぶことの大切さを痛感させられる。
書籍情報
この国のかたちを見つめ直す
加藤陽子、毎日新聞出版、p.288、¥1760
横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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