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横田英史の読書コーナー

自由になるための技術 リベラルアーツ

山口周、講談社

2021.11.11  9:58 am

 VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)の時代におけるリベラルアーツの重要性を説いた書。日本企業や社会の抱える宿痾の原因にも言及する。文法学、修辞学、弁証学、算術、幾何、天文学、音楽から成るリベラルアーツは、人間にとっての知的基礎筋力であり、眼の前の常識を相対化し、複眼的に見るために有効だとする。自らの不勉強を反省させられる書である。
     
 筆者の肩書は独立研究者、著作家、パブリックスピーカーと怪しげだが、政治・哲学・歴史・宗教・哲学などの専門家との対談は興味深い内容を含む。逆に冒頭で筆者の考え方が明らかにされるが40ページほどにとどまり、物足りなさを感じる。対談に登場するのは、国際政治学者・中西輝政、ライフネット生命創設者・出口治明、社会学者・橋爪大三郎、臨済宗住職・菊澤研宗、漫画家・ヤマザキマリなど。冒頭の3氏(中西、出口、橋爪)との対談は含蓄があり読ませる。日立製作所の矢野和夫を登場させているのがユニークである。
      
 ちなみに対談は、ネットメディア「日立EFO(Excecutive Foresight Online)」の再録。Webから書籍へという最近流行りネットファーストの方式をとる。

書籍情報

自由になるための技術 リベラルアーツ

山口周、講談社、p.290、¥1760

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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