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横田英史の読書コーナー

プロセスエコノミー〜あなたの物語が価値になる〜

尾原和啓、幻冬舎

2021.10.4  11:39 am

 完成品の価値はすぐにコピーされ価格競争に陥る。いまの時代に差別化が可能で価値を生むのは制作過程「プロセス」だと主張した書。言い方は異なるが「モノづくりからコトづくり」と同じ文脈にある。著者は、この書評で取り上げた「ディープテック」を著し、最近ウェビナーで名前を見ることが多くなったIT批評家。勢い込んで読み始めたが、残念ながら中身が薄く期待はずれ。言っていることは間違っていないが、他人からの借り物だらけで、著者自身の論考に深みがない。
     
 Zoomを使って「語り下ろした」文章に加筆・修正・編集して出来上がったところに原因があるのかもしれない。PowerPointを使った紙芝居風である。構造化が不十分で読みづらく、「ただ書いている」感が漂う。ただしキャッチーな言葉が続々出てくるので、最近のキーワードを知りたい方に向く。

書籍情報

プロセスエコノミー〜あなたの物語が価値になる〜

尾原和啓、幻冬舎、p.182、¥1650

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。