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横田英史の読書コーナー

不寛容論〜アメリカが生んだ「共存」の哲学〜

森本 あんり、新潮選書

2021.7.31  6:37 pm

 米国建国の歴史に基づき「寛容とは何か」を説いた書。筆者は敬虔なピューリタンだったロジャー・ウイリアムズに焦点を当てる。ウイリアムズの活動をもとに、不寛容だった植民地時代の米国が、異なる価値観を持つ人々が暮らす多様な社会を築くまでの歴史をたどる。「反知性主義」で米国の病根を解き明かした著者の新刊だが、前作同様、知的好奇心を満足させられる。
    
 頑固で偏屈なウイリアムズの行動が影響を及ぼし、米国が多様で寛容な社会を作り上げていく過程はダイナミックで実に面白い。植民地の開拓において「信教の自由」を掲げ、先住民側に立って権力に異議を申し立てたウイリアムズが、自らが植民地(ロードアイランド)を建設する立場に立つ。寛容を貫き、あらゆる宗教・宗派を受け入れる。不寛容な時代に一読したい書である。

書籍情報

不寛容論〜アメリカが生んだ「共存」の哲学〜

森本 あんり、新潮選書、p.304、¥1760

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。