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横田英史の読書コーナー

妄想する頭 思考する手〜想像を超えるアイデアのつくり方〜

暦本純一、祥伝社

2021.4.17  3:16 pm

 「私の仕事は発明」と宣言する著者がアイデア発想法を開陳した書。筆者はソニーコンピュータサイエンス研究所の副所長で、スマホ/タブレットのマルチタッチ・インタフェースやAR研究などで知られる。この書評でかつて取り上げた「調理場という戦場―『コート・ドール』斉須政雄の仕事論」が登場するなど、洒脱で肩のこらない書き口は好感がもてる。イノベーションのための心構えを与えてくれる1冊である。
   
 筆者は新しい発想や発明はワクワク感のある“妄想”から生まれると強調する。人間拡張の妄想は、歌舞伎座のイヤホンガイドから始まったという話は興味深い。モヤモヤとした頭の中のアイデアを言語化することが、妄想が実現に向かって動き出すキッカケになると説く。試行錯誤は神との対話であり、まず手を動かすことの重要さを強調する。
   
 日本の現状に対する著者の見方は厳しい。ルールを絶対視し、妄想に不寛容な日本の現状に警鐘を鳴らす。「強い義務感に追い立てられるようにイノベーションを求められる風潮」にも異議を唱える。「選択と集中という科学技術政策」には未来は予測できるという驕りがあると批判する。

書籍情報

妄想する頭 思考する手〜想像を超えるアイデアのつくり方〜

暦本純一、祥伝社、p.240、¥1760

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。