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横田英史の読書コーナー

未来技術の倫理〜人工知能・ロボット・サイボーグ〜

河島茂生、勁草書房

2021.2.7  2:48 pm

 AI・ロボット・サイボーグを例に先端技術の倫理問題について、どのような前提で議論すれば良いのかを整理した書。人間と機械の共通点と相違点などを自律性の切り口で論じながら、考えるべき点を明らかにする。筆者が「白黒をはっきりさせた書ではない」と語る通り結論を急いではいない。「だから何なのか」と突っ込みたくなる場面もあるが、頭の整理に役立つのは間違いない。これから大きな問題となる「先端技術の倫理」に興味のある方が一読するのも悪くない。
   
 筆者は、個人的責任、組織的責任、集合的責任を組み合わせて先端技術の倫理問題に向かうべきだとする。とりわけ開発者と利用者の萎縮を引き起こさないために、社会的に損害を補償する集合的責任導入を重視する。そのほか人間の介在を必須の要件にすることで人間の関わりを明示化し、責任の一端を人間が担う仕組みを整えることの重要性を説く。機械に道義的責任を課すのは人間の責任逃避に過ぎない。例えばAIに関する論理はあくまで人間側の問題だとする。

書籍情報

未来技術の倫理〜人工知能・ロボット・サイボーグ〜

河島茂生、勁草書房、p.258、¥3850

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。