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横田英史の読書コーナー

「ユーザーフレンドリー」全史〜世界と人間を変えてきた「使いやすいモノ」の法則〜

クリフ・クアン、ロバート・ファブリカント、尼丁千津子・訳、双葉社

2020.10.23  1:40 pm

 ユーザーフレンドリー・デザイン、ユーザーエクスペリエンスの起源から現在までをたどり、人間中心設計やデザイン思考の原理原則と適用事例を紹介した書。使いやすさの本質とは何か、使いやすいモノとは何か、どのように実現するのかを詳細に解説する。ディズニーランドやダイソンの掃除機、iPhone、マウス、アーロンチェア、Facebookを例に挙げながら、ユーザーフレンドリーなデザインの背景にある理念や原則、仮定について紹介する。
  
 個性豊かな人々、偶然の出来事、思想的な論争に焦点を当てながら、そもそも論にさかのぼって説明しており納得性に富む。デザインを扱った書にしては写真や図が少なく、エンタテインメント性に欠けるのが少々残念だが、人間中心設計やデザイン思考に興味のある方に向く書である。
  
 筆者は本書でこう語る。優れたデザインは、「その芸術性で目立つものではなく、『行動のなかに溶け込む』ことによって目立たなくなる」「人間に苦痛を与えている原因を見つけて取り除く」「すでに行っていることを、新しいモノを使うことで、よりうまくできるようにして、しかもごく自然に使えるほど操作性を高める」と。
   
 またデザイナーの仕事は「ユーザーがそのモノで驚き、喜び、そして時間をかけてそれと意義ある関係を築けるように支援すること」と指摘する。Facebookの「いいね!」ボタンを例に挙げながら、「ユーザーフレンドリーは『使いやすいモノをつくる世界』を『つい使ってしまうモノつくる世界』へと変化させた」とする視点も興味深い。

書籍情報

「ユーザーフレンドリー」全史〜世界と人間を変えてきた「使いやすいモノ」の法則〜

クリフ・クアン、ロバート・ファブリカント、尼丁千津子・訳、双葉社、p.496、¥2640

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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