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横田英史の読書コーナー

「役に立たない」科学が役に立つ

エイブラハム・フレクスナー、ロベルト・ダイクラーフ、初田哲男・訳、野中香方子・訳)、西村美佐子・訳、東京大学出版会

2020.9.2  11:45 am

 アルバート・アインシュタイン、ジョン・フォン・ノイマン、ロバート・オッペンハイマーらが集った米プリンストン高等研究所の初代と現在の所長が、基礎研究・基礎科学の意義を説いた書。プリンストン高等研究所の設立趣旨である「役に立たない知識を誰にも邪魔されずに探求する」重要さがわかる。基礎研究が長い時間を経て、我々の社会や生活を変革した事例を、量子力学やコンピュータ、GPSなどを挙げて紹介する。
  
 現所長のダイクラーフは、「研究が保守的な短期目標を重視する方向へ危険なまでに傾いている」「予測可能な研究を高く評価し、先駆的な研究を低く見る」状況に警鐘を鳴らす。自由な発想と精神、探究心と好奇心、崇高な意志が感じられて爽やかな気分にさせてくれる書である。

書籍情報

「役に立たない」科学が役に立つ

エイブラハム・フレクスナー、ロベルト・ダイクラーフ、初田哲男・訳、野中香方子・訳)、西村美佐子・訳、東京大学出版会、p.160、¥2420

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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