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横田英史の読書コーナー

相克のイデア~マツダよ、これからどこへ行く~

前田育男、仲森智博、日経BP

2020.6.7  11:28 am

 マツダのデザイン責任者・前田育男が語るクルマのデザイン論。このところ評価が高まっているマツダのデザインだが、その“思い”や“ねらい”を語っている。聞き手が前田の中学・高校の同級生ということもあって、本音を吐露している感じが伝わってくる。本編も悪くないが、マツダのデザインの源流を作ったインダストリアル・デザイナを紹介する付録がなかなか読ませる。秀抜なデザインのクルマの数々が並び、ここだけでも十分に楽しめる。

 ちなみに聞き手の仲森は評者の元同僚。美術やデザインへの造形が深く、日経BPを定年退職後は、デザイン事務所TSTJの代表に収まっている変わりダネである。本書には、同級生対談のほか、仲森の知り合いの「刀匠」「古美術商」「茶陶」「漆芸家」「武蔵野美術大学長」を交えた座談を収録する。クルマを肴に興味深いデザイン論を繰り広げている。

 「ものづくり未来図」というWebサイトの連載をまとめた書なので重複が若干気になるが、クルマに限らず、デザインが好きに向く書である。評者はクルマ所有歴40年になるが、その半数以上がマツダ車だったのを白状しておく。

書籍情報

相克のイデア~マツダよ、これからどこへ行く~

前田育男、仲森智博、日経BP、p.224、¥2200

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。