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横田英史の読書コーナー

良い製品開発〜実践的ものづくり現場学〜

三木博幸、日本経済新聞出版

2020.4.18  2:38 pm

 クボタの技術本部長などを務め、退社後も原子力機器や医療機器、光学機器などのメーカーの技術指導を行い開発現場の改善にかかわったコンサルタントによる「開発心得帳」。クボタ時代に耕うん機、田植機、トラクター、自動販売機など、多くの事業を赤字から黒字に転換させた改善策を披露する。本書を読んだだけで黒字転換が可能な訳ではないが、そのエッセンスは理解できる。開発現場の楽しさやワクワク感が伝わってくる書である。東京大学大学院の藤本隆宏教授の解説も読み応えがある。

 筆者は、既存製品に新規機能を付け加えたり、機種の上位モデル展開のための開発に明け暮れる現場に危機感を募らせる。開発現場の弱体化の原因を、分業化が進み製品全体を丸ごと開発した経験者の不在、社内からの声に惑わされユーザーの実態を知らない環境、第3者による検図が難しく先輩とノウハウを共有できない3次元CADの普及などを挙げる。

 筆者は、製品の価格15%削減と性能20%向上、あわせて割安感35%向上といったを掲げ、開発に取り組む。本書では、DCT(Design to Cost)開発やIP抽出、製品の狙いと目標、コストダウン目標、開発スケジュールなどを記載した「製品開発企画書」に沿った開発、特許出願200目標などの処方箋を紹介する。IP抽出は、自動車や家電製品、IT製品を分解してノウハウを学ぶ。例えば自動車は2〜3年おきに分解しているという。

書籍情報

良い製品開発〜実践的ものづくり現場学〜

三木博幸、日本経済新聞出版、p.232、¥1980

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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