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横田英史の読書コーナー

現代語訳 論語と算盤

渋沢栄一、守屋淳・訳、ちくま新書

2020.4.17  2:35 pm

 2024年から新1万円札の顔になる渋沢栄一の著作の現代語訳。現在のみずほ銀行や東京海上日動火災保険、東京ガス、王子製紙、東急などを設立し日本実業界の父と呼ばれる渋沢が、自らの経営哲学を語っている。1916年に出版された書だが、論語の道徳観を背景にした経営論は、資本主義の本質と問題点を鋭く突いており古さを感じさせない。現在に通じる部分がとても多い。渋沢という人物の凄さに驚かされる。

 最近流行している説明調のタイトルではなく、短く鋭くの「論語と算盤」も切れ味が良い。目次も、「処世と信条」「立志と学問」「常識と習慣」「仁義と富貴」と単刀直入である。書店行くといまだに平積みされていることが多く、新札発表から1年以上たっても売れ続けているようだ。現代語訳の出来も良く、ベストセラーになっている理由がよく分かる。多くの方にお薦めできる古典的名著である。

書籍情報

現代語訳 論語と算盤

渋沢栄一、守屋淳・訳、ちくま新書、p.256、¥902

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。