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横田英史の読書コーナー

人口減少社会のデザイン

広井良典、東洋経済新報社

2020.2.20  9:50 am

 本書の帯には「日立京大ラボのAIが導き出した未来シナリオと選択」とあるが、読んでもAIらしさはあまり感じない。スピリッチュアルの話が登場するなど、全体的にアナログっぽい内容が多い。ロジカルに迫るというよりも議論は信念的だが、日本にとって喫緊の課題となっている「人口減少社会への対応」に興味のある方にお薦めできる1冊である。

 筆者は、人口減少社会が持続的であるためになすべきことを多角的に提案する。ドイツ以北の欧州を手本にしたコミュニティ重視のまちづくりや、鎮守の森・自然エネルギーコミュニティプロジェクトなど、耳を傾ける価値のある提案も登場する。著者のリベラルな思想には賛否があるかもしれないが、高度経済成長の呪縛をいまだに引きずり、経済成長がすべてを解決するという幻想に取り憑かれた日本にとって興味深い論点を提示しているのも間違いない。

 筆者は人口減少社会の意味から説き起こし、コミュニティやローカライゼーションの重要性について論じる。その後、人類史における人口減少の意味を位置づけ、ポスト成長社会を議論する。さらに持続可能な社会保障、持続可能な医療、持続可能な福祉社会といった時宜にかなった論点について持論を展開する。死生観といった話題を取り上げるのも本書の特徴である。

書籍情報

人口減少社会のデザイン

広井良典、東洋経済新報社、p.315、¥1980

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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