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横田英史の読書コーナー

伝説 ソニーの半導体~その栄光の軌跡そして未来への構図〜

泉谷渉、川名喜之、産業タイムズ社

2019.12.17  1:25 pm

 著者略歴によると国内最古参の半導体記者の手による「ソニーの半導体の歴史」。ソニーは2019年国内半導体メーカー売上高で首位になるのが確実視されており、タイムリーな出版といえそうだ。ソニー躍進の原動力となっているCMOSイメージセンサー生産に至るまでの歩み、半導体トップである清水照士常務や工場長(TEC長)、数多くのOBのインタビューなどをカバーする。筆者は冒頭で「ソニー礼賛本を書きたいと思わなかった」と述べているが、結果的には立派な礼賛本となっている。ソニーや国内半導体メーカーに興味のある方にとって役立ち感のある書に仕上がっている。

 残念なのは編集作業が十分でないところ。同じフレーズの繰り返しや全く逆の意味になってしまう誤字が少々気になってしまう。半導体部門の歴史について数字に羅列になっているところも読んでいて辛い。グラフや表を使った方が読者にとって親切だろう。得難い情報が詰まった書籍だけに編集的な配慮が欲しかった。ちなみに評者は丸善(在庫は丸の内本店のみ)で本書を入手したが、Amazonではオンデマンド印刷となっている。

書籍情報

伝説 ソニーの半導体~その栄光の軌跡そして未来への構図〜

泉谷渉、川名喜之、産業タイムズ社、p.308、¥3850(丸善、Amazonの場合オンデマンド印刷)

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。