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横田英史の読書コーナー

ブロックチェーン〜相互不信が実現する新しいセキュリティ〜

岡嶋裕史、ブルーバックス

2019.9.5  12:47 pm

 この書評で先日取り上げた「グーグルが消える日」で著者のジョージ・ギルダーが、新たなインフラへと育ちつつあると高く評価していた技術「ブロックチェーン」を改めて勉強するために購入したブルーバックス。基幹技術であるハッシュを重点的に解説するほか、ブロックチェーンの構造、不正を防ぐ仕組み、ブロックチェーンが抱える課題、導入法と運用時の注意点、仮想通貨以外への応用にも言及する。解説用の図が丁寧で分かりやすい。新書らしい新書に仕上がっている。ブロックチェーンを定性的に知る入門書としては悪くない。

 本書は6章から成る。まず、ブロックチェーンがなぜ社会現象になったのかについて紹介。その後、ハッシュ技術、ハッシュの応用、不正できない構造、ブロックチェーンが抱える課題と他分野への転用に言及する。最後に、「最初の理念が骨抜きにされると普及が始まる」と筆者の予測を示す。

 筆者はあとがきでこう指摘している。技術には哲学がつきものである。しかし「初期の理想」が、ブロックチェーンが普及するにつれて変貌するのは避けられない。インターネットも同様の過程を経て現在に至る。『「初期の理想」とは違う方向へ技術が書き換えられ、運用の方法に変更が加えられていくだろう。技術を理解し、使いこなそうとするとき、最初の印象を引きずり続けないこと、変化に柔軟に対応していくことはとても重要である。本書は、思想に左右されない技術の核心部分を捉えられるように構成した』と。

書籍情報

ブロックチェーン〜相互不信が実現する新しいセキュリティ〜

岡嶋裕史、ブルーバックス、p.256、¥1080

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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