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横田英史の読書コーナー

売上を、減らそう。〜たどりついたのは業績至上主義からの解放〜

中村朱美(佰食屋)、ライツ社

2019.8.30  12:44 pm

 1日に100食限定で営業時間3時間、残業ゼロながら、業員の給料は百貨店並みということで注目を集める国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋」について、オーナー社長自らが紹介した書。筆者は「日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」大賞を受賞し、売り上げ重視の逆を行く経営手法は一般紙やテレビでも大きく扱われるなど時の人である。肩の凝らない内容なので、出張の折りに新幹線や飛行機で読むのにちょうどいい。

 本書は、佰食屋が生まれた経緯、「100食限定」が生んだ5つのメリット、佰食屋の労働と経営の実態、社員に求めているものについて紹介する。疑り深いジャーナリストとしては「本当?」と感じる部分もあるし、佰食屋のビジネスモデルがどの程度の普遍性と持続性を持つのか不明だが、考え方と実行力はとても興味深い。ちなみに筆者が社長を務めるminitts社は、京都西院のステーキ丼専門店のほかにも、同じビジネスモデルで四条河原町にすき焼き専門店、京都錦市場に肉寿司専門店も展開する。さらに50食限定のランチ定食店「佰食屋1/2」のフランチャイズ展開も目論む。今後の展開が気になるところだ。

書籍情報

売上を、減らそう。〜たどりついたのは業績至上主義からの解放〜

中村朱美(佰食屋)、ライツ社、p.264、¥1620

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。