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横田英史の読書コーナー

「家族の幸せ」の経済学〜データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実〜

山口 慎太郎、光文社新書

2019.8.25  12:41 pm

 結婚、出産、子育て、離婚などのテーマについて、家族がより幸せになるためのヒントを経済学の知見を使って提示する書。母乳で育てるべきか、3歳まで母親がつきっきりで子育てすべきか、帝王切開が子供の将来に与える影響など、身近な話題を取り上げる。世間に流布している思い込みや定説の問題点を、若手の経済学者が各種のデータをベースに指摘している。

 興味深いのは結婚についてのデータ分析に、マッチングサイトのデータを用いている点。単純なインタビュー調査では調べきれない、出会いから結婚までの過程や相手に対する印象といった本音を、ネットメディアを使って探っているところが今風である。

 出生時の体重が子供の人生、知能、高校卒業率、所得に与える影響や、母乳と肥満、アレルギー、喘息、知能、社会性との関係、育休は1年がベストであり3年は無意味、保育園は子供の知能よりも情操(問題行動の抑止力)に効果的など、興味深い話が並ぶ。男性の育休取得の波及効果や、離婚における親権問題などにも言及する。

書籍情報

「家族の幸せ」の経済学〜データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実〜

山口 慎太郎、光文社新書、p.264、¥886

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。