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横田英史の読書コーナー

暴走するネット広告〜1兆8000億円市場の落とし穴〜

NHK取材班、NHK出版新書

2019.8.5  9:53 am

 インターネット広告における不正を、「クローズアップ現代+」取材班が徹底的に追った書。インターネット広告は1兆8000億円市場に拡大し、すでに地上波テレビ広告を肩を並べ、早晩抜き去ることは間違いない。そうしたインターネット広告は、制御不可能なほど複雑な仕組みと先進技術(アドテクノロジー)を用いて運営されており、広告代理店や広告主のチェックが行き届かず無法地帯化している。本書はインターネット広告の実像に迫った力作でお薦めである。

 インターネット広告での不正といえば、2016年に明らかになった電通の不正請求が思い出される。本書が明らかにするのは、さらに巧妙化した手口の数々である。取材班は、日本各地だけではなく、米国やウクライナにまで出向き、インターネット広告費を不正に掠め取る仕組みと儲けている輩を明らかにする。

 本書が取り上げるのは、SNSに表示され商品の購入へと巧みに誘導する偽りの広告「フェイク広告」、巨大海賊版漫画サイト「漫画村」における広告の流れ、サイトの裏側で広告を読み込む不正行為「アドフラウド」、ネット広告の今後である。特に漫画村の運営者やサーバー、防弾ホスティングに迫る第2章は読み応え十分である。

書籍情報

暴走するネット広告〜1兆8000億円市場の落とし穴〜

NHK取材班、NHK出版新書、p.210、¥864

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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