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横田英史の読書コーナー

人類の起源、宗教の誕生〜ホモ・サピエンスの「信じる心」が生まれたとき〜

山極寿一、小原克博、平凡社新書

2019.7.17  10:40 am

 京都大学総長の霊長類学者と同志社大学のキリスト教学者が、人間とはなにかについて宗教と関連づけながら対談した書。テーマは、人類にとっての物語、暴力はなぜ生まれたか、暴走するAIの世界、ゴリラに学べ、大学はジャングルだ、など多岐にわたる。「AIの発展と宗教のこれから」についても言及する。人間や人間社会の特性を人類史的な観点で俯瞰的にまとめた新書らしい新書である。

 評者が特に注目したのがAIについての議論だ。霊長類学者の山極が「人間の身体や心はまだ自然の中にいる。その感覚が人工的な環境とミスマッチを起こしている」などと議論をリードし、キリスト教学者の小原が補足する形で対談は進む。含蓄がある内容なので飽きさせない。

 「AIは、宗教が重視する身体作法をないがしろにする」「AIは人間を排除する」「AIを使って人間を評価することは危険」「確率的に人間を評価することの愚」「生物が生きていくためには、直観や主体性が重要な役割を果たす。AIによって、直観を生む機会がどんどん失われる」「推論も制約もできない偶然性に対する耐性や受容する力の喪失」といった警句が並ぶ。

書籍情報

人類の起源、宗教の誕生〜ホモ・サピエンスの「信じる心」が生まれたとき〜

山極寿一、小原克博、平凡社新書、p.221、¥907

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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