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横田英史の読書コーナー

超AI入門〜ディープラーニングはどこまで進化するのか〜

松尾豊・編著、NHK「人間ってナンだ?超AI入門」制作班、NHK出版

2019.4.29  10:14 am

 書籍選びで参考にしている東京大学生協で理工書部門のベストセラーになっている書。タイトルが超AI入門なので初学者向けかと思ったが、意外に哲学的で読み応えがある。図を効果的に使って丁寧に説明しているのでスイスイ読めるのもいい。本書は2017年10月〜12月のNHK Eテレの6回分の放送を書籍化したものだが、本質的な議論を展開していることもあって古さは感じない。クラウドコンピューティングやエッジコンピューティングの話題も取り上げており、俯瞰的な視点を持った書である。

 筆者は、AIと人間の間で会話は成立するのか、脳とAIの違い、AIは芸術作品を生み出せるのか、AIロボットの実現はなぜ難しいのか、AIの画像認識技術で暮らしはどう変わるのか、AIと人間は融合するのか、といったテーマを取り上げる。AIとは何か、人間とは何か、脳とは何かといったことに興味を持つ方に向く書である。

 今年のチューリング賞を受賞した3人のうち2人のインタビューが載っているのも評価できる。米Googleのジェフリー・ヒントンが「ディープラーニング誕生までの道のり」、米Facebookのヤン・ルカンが「人間のように学べるAIを目指して」といった内容で語っている。

書籍情報

超AI入門〜ディープラーニングはどこまで進化するのか〜

松尾豊・編著、NHK「人間ってナンだ?超AI入門」制作班、NHK出版、p.204、¥1296

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。