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横田英史の読書コーナー

新装版 役人道入門〜組織人のためのメソッド〜

久保田勇夫、中公新書ラクレ

2019.3.9  10:58 am

 特異なキャラをもつ日本の高級官僚が続々と登場するなか、タイムリーなタイトルにつられて購入したが大失敗。20年前の書をほとんどそのまま新書化しており、多くの読者が期待するであろう内容からかなり遠い。省益は存在しない、役人は能力と社会に果たしている役割を過小評価されていると擁護するのは致し方ないが、現状分析がないのは残念である。本来なら新装版を出すタイミングで、少し加筆すべきだった。逆に言えば、時間が止まったような書なので、古き良き時代の役人像を知るうえでは役立つ。

 サブタイトルは「組織人のためのメソッド」。出張や会議の報告書など文章の書き方、難敵との交渉術、上司への仕え方や部下への接し方、人事の心得、健康法、英・独・仏の官僚といった項目が並ぶ。評者は仕事柄、文章編を興味深く読んだ。なぜか最近になってマスメディアで盛んに使われるようになった「喫緊」が、もともとは役人用語は知らなかった。前広など、ユニークな役人用語を紹介する。

 著者は大蔵省出身で、現在は西日本シティ銀行代表取締役会長である。かなりのエリートで、確かに本書の書き口も自信満々なので好き嫌いが出そうだ。大蔵省の同期には中島義雄、長野厖士、中山成彬、森昭治などが並ぶ。かなり充実した年次である。

書籍情報

新装版 役人道入門〜組織人のためのメソッド〜

久保田勇夫、中公新書ラクレ、p.304、¥950

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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