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横田英史の読書コーナー

言語の社会心理学~伝えたいことは伝わるのか~

岡本真一郎、中公新書

2013.4.7  12:00 am

 話し言葉は「文字通り」には伝わらないことを、具体的な事例を挙げながら社会心理学の観点から論じた新書。親しい間柄では話していないのに真意が伝わることや、逆に親しくないと丁寧に説明しているのに誤解されるといったことは、多くの方が体験しているだろう。本書は、こうした言葉にまつわる日常的な体験を社会心理学の知見や実験結果をもとに解き明かす。ごく日常的は話なので目から鱗が落ちるといった驚きはないが、言葉の面白さを感じさせてくれる1冊なのは間違いない。
 全体に驚きの少ない書だが、対人関係と言葉についての考察はなかなか読ませる。特に盛り上がるのは終章「伝えたいことを伝えるには」である。たとえば、フィードバックに非言語的チャネルを利用する、日常語に専門の意味がある語には誤解のおそれがある、ことさら易しく言うのも混乱の元になる、謝罪はまとめて行う、余計な弁解は印象を悪くするだけ、などなどだ。会話の勘所を押さえており、この部分を読むだけでも価値がある。

書籍情報

言語の社会心理学~伝えたいことは伝わるのか~
岡本真一郎、中公新書、p.277、¥924

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。