横田英史の読書コーナー
オープン・サービス・イノベーション~生活者視点から、成長と競争力のあるビジネスを創造する~
ヘンリー・チェスブロウ、博報堂大学 ヒューマンセンタード・オープンイノベーションラボ・監修、TBWA博報堂・監修、阪急コミュニケーションズ
2013.3.7 12:00 am
サービスをオープン化してイノベーションにつなげ、コモディティ化による価格競争に陥らないための方策と事例を紹介した書。オープン・イノベーション研究の第一人者の筆者が、対象をモノからサービスに広げ論考を加えている。オープン・イノベーションによって顧客とサービスを共創することで、持続可能なビジネスモデルが生まれ、コモディティ化の陥穽から脱出が可能になるというのが筆者の主張。経済がサービス化を強めるなか、示唆に富む指摘が多い書である。
筆者はオープン・サービス・イノベーションの位置づけと必要性から説き始める。コンセプトを明らかにするとともに、フレームワークについて論じる。モノは使われることで消耗し価値が下がるが、知識(サービス)は使われることによって知見がたまり価値は高まる。社外を巻き込むことで、社内では得られなかった知見がたまりイノベーションにつなげられる。このあたりの議論は説得力がある。
米国の書らしく、米Xeroxや米GEアビエーション、米メリスリンチ、オランダのKLMオランダ航空、米Amazonなど事例が豊富。ピックアップしているのは先進国の大企業ばかりではない。新興国や中小企業も事例として挙げる。例えばスペインのレストラン「エル・ブリ」の事例も興味深い。1年の半分しか店を開かない。残りはレシピ開発に費やす。しかもレシピのアイデア外部研究機関から得ている。
書籍情報
オープン・サービス・イノベーション~生活者視点から、成長と競争力のあるビジネスを創造する~
ヘンリー・チェスブロウ、博報堂大学 ヒューマンセンタード・オープンイノベーションラボ・監修、TBWA博報堂・監修、阪急コミュニケーションズ、p.304、¥2,310

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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