歴史は実験できるのか〜自然実験が解き明かす人類史〜

ジャレド・ダイアモンド 、 ジェイムズ・A・ロビンソン、小坂恵理・翻、慶應義塾大学出版会

 名著「銃・病原菌・鉄」の筆者であるジャレド・ダイアモンドが執筆陣に加わった人類史。研究室における自然科学の実験のように、歴史学や経済学などについても自然実験が可能かを論考した書。時定数の長い人類の歩みを促した要因が、社会的・民族的・文化的な条件を分析することで、ある程度予測できる可能性を示す示す。ダイアモンドのほかに、歴史学、考古学、経済学、経済史、地理学、政治学などの専門家が執筆に加わっており、中身はなかなかディープである。ダイアモンド流の人類史に興味のある方にはお薦めである。


 本書の特徴は事例と分析の面白さである。例えば同じイスパニューラ島を分断統治するハイチとドミニカ共和国に、なぜ現在のような経済格差が生まれたのか。ハイチは貧しく、ドミニカはそれに比べて豊かだが、植民地として支配したスペインとフランスの違い、連れてこられた奴隷の違いに格差の原因をみる手法は興味深い。

 

 このほかイースター島で森林破壊やアフリカの経済発展と奴隷貿易の分析も面白い。前者では、火山の噴火や火山灰といった背景と関連づける。後者では奴隷貿易が盛んだった国家では現在、民族の多様性が目立ち、大きくて安定した共同体や国家の編成が妨げられたとする。

書籍情報

歴史は実験できるのか〜自然実験が解き明かす人類史〜

ジャレド・ダイアモンド 、 ジェイムズ・A・ロビンソン、小坂恵理・翻、慶應義塾大学出版会、p.320、¥3024

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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