人体600万年史(下)~科学が明かす進化・健康・疾病~

ダニエル・E・リーバーマン、塩原通緒・訳、早川書房

 人類進化の壮大な歴史を扱った書の下巻。農業革命から産業革命、さらに情報革命への変遷が身体に与えた影響を論じる。「農民となったことのありがたさと愚かさ」「産業化と人間の健康とのパラドックス」「なぜエネルギーを摂りすぎると病気になるのか」「なぜ使わないとなくなってしまうのか」「なぜ日常的なイノベーションが有害なのか」と、文明の進展が身体とのミスマッチを生み、病気につながったとする。

 

 農業は人類最大の過ちだったというのが本書のスタンスである。農業は、文明やその他の進歩に繋がったかもしれないが、人間の体が変化についていけず、かつてない大規模な苦難や死、感染症の流布、ミスマッチ病につながったとする。例えば農業が始まる前は、虫歯を持った個人の割合が2%だったのに、初期新石器時代には約13%に跳ね上がった。

 

 産業化以降が体に与えた影響も大きい。産業化によって人間の死亡率は下がった代わりに罹病期間を長くすることになり、ガンを発生させる突然変異の確率が高まった。動脈が硬化するいった身体の機能低下も起こる。また心臓発作と脳卒中はおもに進化的ミスマッチの一例であって、農業以降の(特に産業化以降の)食事と座ってばかりの生活様式との複合作用に引き起こされると断じる。このほか腰痛や近眼などと現代社会との関係などに触れる。

書籍情報

人体600万年史(下)~科学が明かす進化・健康・疾病~

ダニエル・E・リーバーマン、塩原通緒・訳、早川書房、p.349、¥2376

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役に就任。現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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