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横田英史の読書コーナー

経営に活かす生成AIエネルギー論〜日本企業の伸びしろを探せ〜

岡本浩、高野雅晴、日経BP 日本経済新聞出版

2026.2.23  7:50 am

 AI/生成AIの興隆によって増大する電力需要への対応策「ワット・ビット連携」を紹介した書。ワット・ビット連携はGX(グリーン・トランスフォーメーション)に一環として注目を浴びている。ワット・ビット連携では、再生可能エネルギーの電力インフラとデータセンターの通信インフラを一体として考える。再生可能エネルギーの電力網(電力グリット)とAIデータセンターのネットワークを最適配置するとともに柔軟に制御することで、AIの計算リソースに効率的に電力を供給する。
      
 具体的には大量の電力を消費するデーターセンターを従来のようにユーザーの近くではなく、再生可能エネルギーも発電拠点の近くに配置し、通信ケーブルでつなぐ。AIの学習プロセスは中断と再開に強いという特徴がある。再生可能エネルギーの供給が豊富な時間帯に集中的に計算リソースを稼働させる。電力需要がピークのときには、一時的に稼働を抑えるといった運用ができる。
      
 本書はワット・ビット連携の設計思想にはじまり、具体的な構成、想定する応用事例、将来像などを紹介する。福岡県糸島市における、再生可能エネルギーを活用した地域振興事例なども紹介する。風呂敷を大きく広げすぎたせいか全体に議論が薄味だが、施政方針演説でワット・ビット連携に言及されるなど注目が集まっており、本書で基礎知識を蓄えるのも悪くない。

書籍情報

経営に活かす生成AIエネルギー論〜日本企業の伸びしろを探せ〜

岡本浩、高野雅晴、日経BP 日本経済新聞出版、p.256、¥2420

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。