Electronics Information Service

組込みシステム技術者向け
オンライン・マガジン

MENU

横田英史の読書コーナー

ホーム・コンピューター〜デジタル時代を決定づけた100の名機〜

アレックス・ウィルトシャー、伊賀由宇介・訳、グラフィック社

2026.1.28  9:33 am

 リレー式マシン「Minivac 601」(1961年)から「iMac G3」(1998年)までの個人向けコンピュータ(パソコン)から100機種をピックアップした写真集。日本発のMSXパソコンも登場する。主役はあくまで写真だが、当時の業界のおかれた状況や開発時のエピソードを盛り込んだ文章もなかなか読ませる。各機種について発売日や搭載プロセッサ、メモリー容量、メーカー名などの記載があり、百科事典的な使い方もできるのもお勧めである。1機種に基本的に2ページ、多くて4ページを割く。1日に1機種か2機種を読んでいくのも悪くない。
     
 本書を見て気づくのは、黎明期のパソコンには多種多様なデザインが施されていたことだ。機能を実現するためのデザインもあれば、アバンギャルドなデザインもあるなど、眺めてみて実に楽しい。とても冒険的で魅力的なデザインの数々に驚かされる。本書は、米MITSの「Altair 8800b」、米Radio Shackの「TRS-80 Model III」、米COMMODOREの「PET 2001」といった著名なパソコンのほか、日本ではほとんど知られていないが歴史的には価値のあるマシンも多く取り上げる。営業的に成功したかどうかは別にして、それぞれのパソコンの設計思想が“攻めて”おり実に良い。
      
 米国だけではなく、日本(カシオやキヤノン、東芝、シャープ、ソード)や英国、フランス、ドイツ、イタリア、ブラジルのマシンも紹介する。珍しいのは東ドイツやウクライナ、チェコなど東欧のパソコンだろう。日本人としては西和彦が登場する(本人は取材を受けた記憶がないと言っているが…)。3960円と少し高い価格設定だが、美しい写真を見て楽しみ、数々のエピソードを読んで楽しめる1冊である。

書籍情報

ホーム・コンピューター〜デジタル時代を決定づけた100の名機〜

アレックス・ウィルトシャー、伊賀由宇介・訳、グラフィック社、p.256、¥3960

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。