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横田英史の読書コーナー

サッチャー〜「鉄の女」の実像〜

池本大輔、中公新書

2026.1.9  9:21 am

 日本における初の女性首相誕生で脚光が当たる、英国最初の女性首相マーガレット・サッチャーの評伝。サッチャーの生涯を追うとともに、外交政策や経済政策における決断の数々に吟味を加える。最近の研究や数々の史料に基づきながら、その実像を明らかにする。日本で語られるサッチャー像は引退時の研究や史料、自伝に基づいており“古い”と断じる。
      
 筆者は、現在の英国の排他主義やポピュリズム、格差社会、ブリグジットの原因を作ったのが、サッチャーが主導した新自由主義だったと分析する。現在の英国の政治・経済・社会の状況を正しく理解するには、正しいサッチャー像にアップデートすることが不可欠だと語る。
      
 巷間語られるサッチャー像とは異なる、実際の行動パターンや思考パターンはとても興味深い。サッチャーは政治的なリスクを慎重に考慮し、石橋を叩いても渡らない政治家だったという。我々のもつ「鉄の女「信念の政治家」のイメージを覆す本書はお薦めである。

書籍情報

サッチャー〜「鉄の女」の実像〜

池本大輔、中公新書、p.336、¥1375

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。