横田英史の読書コーナー
松本清張の昭和
酒 信、講談社現代新書
2025.12.31 4:31 pm
「点と線」「ゼロの焦点」「砂の器」などで知られる昭和の国民作家・松本清張の評伝。貧困の底にあった幼少期、41歳で作家デビューするまでの職歴、恋愛体験、30代半ばで召集された軍隊での体験、次々とベストセラーを出した作家時代にわたって詳細に足跡を追う。
明治大学准教授の筆者は、周囲の証言、清張の小説やエッセイからエピソード、松本清張記念館の資料などを駆使して「初の本格評伝」を執筆したという。面白いのは、筆者が小説家並みの想像力を発揮して、ストーリーを補っているところ。「本当かなぁ〜」「想像の翼を広げすぎ」と思われる箇所が散見されるのはご愛嬌である。
清張は仕事は実に多彩である。時代小説から推理小説、社会派ミステリー、ノンフィクション、昭和史もの、古代史ものまで手がけている。しかも多作だ。40年ほどの作家生活で、750冊の著書、長編・短編をあわせて1000作に及ぶ作品を出している。新潮文庫の累計部数は4600万部に達する。ちなみに評者は、「日本の黒い霧」や「昭和史発掘」といったノンフィクションや昭和史もの、古代史ものが好みである。
書籍情報
松本清張の昭和
酒 信、講談社現代新書、p.262、¥1210

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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