横田英史の読書コーナー
スマホ時代の哲学〜なぜ不安や退屈をスマホで埋めてしまうのか〜【増補改訂版】
谷川嘉浩、ディスカヴァー・トゥエンティワン
2025.12.25 4:29 pm
アテンション・エコノミーに侵された「常時接続の世界」に正気を保って生き抜くための哲学を提示する書。簡易な言葉遣いと身近な事例を挙げて「哲学の歩き方」を指南する。現代人が置かれた常時接続やSNS環境が人間に与える影響を分析するとともに問題点を指摘する。アテンション・エコノミーとは、情報の内容や質よりも人の注目自体が価値を持つ経済を指す。人間やイベント、商品がアテンションを奪うことに最適化されている。
筆者はタイムパフォーマンス(タイパ)の悪い「消化しきれなさ」「難しさ」「モヤモヤ」の重要性を説くとともに、これらを生活に取り入れる方策を示す。「注意の分散に抵抗せよ、孤独を持て」と唱える。一つの視点を絶対視せず、想像力のレパートリーを増やし、想像力を豊かにすることが肝要だとする。
常時接続の最大の問題は孤立や孤独の喪失だという。他者から切り離されて何かに集中していたり、自分自身と対話している状態が失われる。退屈に耐えきれず、刺激やコミュニケーションをつい求めてしまう。自分自身と過ごすことができない。孤立することで、自分を見つめ、自分と対話する反芻処理の時間を持つことができる。
あえて結論づけず、消化せずにモヤモヤを抱えておく能力「ネガティブ・ケイパビリティ」の重要さを指摘する。筆者が勧めるのは「趣味」である。
書籍情報
スマホ時代の哲学〜なぜ不安や退屈をスマホで埋めてしまうのか〜【増補改訂版】
谷川嘉浩、ディスカヴァー・トゥエンティワン、p.384、¥1540

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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