横田英史の読書コーナー
何が日本の経営者を迷走させたのか〜米国流への誤解・錯覚・無理解を斬る〜
綱島邦夫、日経BP 日本経済新聞出版
2025.11.1 9:34 am
日本で流布している米国流と称される経営理論は間違っており、日本の経営は迷走していると断じた書。米国流の経営は、誤解や錯覚、無理解に基づくものが多く、日本企業に悪影響を及ぼすだけではなく、破滅に導く可能性があるとする。米国企業や米国の経営者の事例を挙げ自論の妥当性を訴える。「選択と集中」や「全体最適の経営」「中期経営計画」などは20世紀の遺物であり、米国の伝統企業を衰退に導いたと強調する。日本で人気の経営理論をディスって自論を目立てようとする意図を感じるが、多様な意見に触れるのは悪くないだろう。
筆者は捨てるべきものとして、米国発のカタカナ言葉の濫用、米国企業が繁栄しているとの誤解、財務基準による選択と集中、人的資本主義の表層的な取り組み、統合型コーポレートガバナンス、両利きの経営への過度な期待を挙げる。逆に獲得すべきなのは、現場主義と戦略思考を超えるGAFAMの空想力、日本人中心主義を打破する国際的チーム作り、Growth Mindsetによる社会と地球の課題の解決力とする。
書籍情報
何が日本の経営者を迷走させたのか〜米国流への誤解・錯覚・無理解を斬る〜
綱島邦夫、日経BP 日本経済新聞出版、p.256、¥2750

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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