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横田英史の読書コーナー

概説 人工知能〜ディープラーニングから生成AIへ〜

丸岡 章、ちくま学芸文庫

2025.10.16  9:29 am

 人工知能の誕生から大規模言語モデル、生成AIまでの歴史を辿るとともに、計算の仕組みの基礎を解説した書。御年80歳を超える東北大学名誉教授が書き下ろした。文庫本とは思えないほど専門性の高い内容になっている。大学教養の教科書相当だろう。偏微分方程式や行列演算など数式がばんばん登場するので、線形代数の基礎的な知識がないと読み通すのは辛い。筆者は理解を助けるために例え話を多用しているが、これは良くできている。配慮が感じられ、なかなか秀抜である。
     
 第3次と第4次のAIブームは、膨大なトレーニングデータと超絶したコンピューターパワーの力技で達成されたものだが、それを支える“精妙な計算の仕組み”が重要だと筆者は語る。この計算の仕組みは、研究者たちのひらめきとアイデアの詰まったものだと高く評価する。本書では、計算の仕組みの基礎となるところを、一切省略することなく全て解き明かしたとする。難解なのも仕方がないといえそうだ。

書籍情報

概説 人工知能〜ディープラーニングから生成AIへ〜

丸岡 章、ちくま学芸文庫、p.288、¥1320

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。