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横田英史の読書コーナー

心臓とこころ〜文化と科学が明かす「ハート」の歴史〜

ヴィンセント・M・フィゲレド、坪子理美・訳、化学同人

2025.10.12  9:27 am

 心臓専門医が、古代から現代に至るまでの「心臓とは何か」「心臓もまつわる出来事」を、芸術、文化、宗教、哲学、科学、医学など多角的に追った書。紀元前2万年の洞窟壁画に描かれたマンモスの赤い印、紀元前3300年のアイスマンの動脈硬化、1816年の聴診器の発明、1967年のバーナード博士による初の心臓移植、1984年の異種心臓移植(ヒヒの心臓を12歳の女児に移植)などをカバーする。
     
 心臓はその昔、知性や感情、魂の宿る場所を考えられていたが、近代医学の発展とともに単なる血液ポンプとみなされるようになった。それが最新の科学や心臓医学の進歩によって、脳と心臓の双方向性が明らかになってきた。脳が心臓に指示を出すのと同じくらい、心臓が脳に指示を出すことが示唆されているという。
     
 実はAIや脳に関連する書籍だと勘違いして購入したのだが、管見にして知らなかった話が多い。心臓移植のレジピエントになった患者がドナーの人柄や性格の特徴を受け継いだという報告だったり、ルイ14世のミイラ化した心臓を食べてしまった人の話、機械式人工知能を移植した人が5年(執筆当時)生存していている話など、十分に楽しめた。

書籍情報

心臓とこころ〜文化と科学が明かす「ハート」の歴史〜

ヴィンセント・M・フィゲレド、坪子理美・訳、化学同人、p.336、¥2970

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。