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横田英史の読書コーナー

僕には鳥の言葉がわかる

鈴木俊貴、小学館

2025.10.3  9:20 am

 人間には人間の言葉があるように、鳥には鳥の言葉があることを明らかにした書。掛け値なしに面白い動物言語学に関するエッセーである。筆者は動物言語学の創始者で東京大学の准教授。学部時代のエピソードに始まり、動物言語学が生まれるまでの過程を面白おかしく綴る。洒脱な文章でスイスイ読み進むことができるが、中身は学術的に画期的で非常に濃い。学問的に押さえるべきところはきちんと押さえ、素人にも理解できるように表現しているところに、筆者の凄さを感じる。
    
 古来から言葉を持つのは人間だけだとされてきた。鳥は感情で鳴いているとしか認識されていなかった。それを覆したのが筆者である。筆者はシジュウカラ語を解し、「シジュウカラが20以上の単語を組み合わせて文を作っている」「シジュウカラはジェスチャーで意思疎通を図る」など学術的に画期的な研究成果を次々に挙げる。一流のジャーナルに次々に掲載され、国際学会の基調講演をこなすまでになった。
    
 ちなみに、評者が筆者の存在を知ったのは、Eテレ(昔の教育放送)で3月初旬に放送された「NoASOBI~僕は小鳥になりたい」である。シマエナガを探すドキュメンタリーだが、鳥への愛に溢れる内容で「こんな面白い人がいるんだぁ」と感銘を受けた。本書にも同じような愛情が込められている。リラックスした休日に読みたい良書である。

書籍情報

僕には鳥の言葉がわかる

鈴木俊貴、小学館、p.264、¥1870

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。