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横田英史の読書コーナー

文化が違えば、心も違う?〜文化心理学の冒険〜

北山 忍、岩波新書

2025.9.25  9:16 am

 文化心理学の入門書。文化心理学は、ものの考え方や感じ方に現れた文化間の違いを手がかりに、人間心理の普遍性と多様性を浮き彫りにす学問である。地球上の各国・地域における文化の相違と同一性とを分析し、多様性に隠された普遍性を見出す。文化心理学の知見は、異文化間の対立と誤解を解消し、より包摂的な未来を構築する強力なツールになると筆者は語る。
   
 面白いのは、文化と心がどのような関係にあるのかを突き止めるために、調査や心理実験だけではなく、脳波や脳画像、遺伝情報までを駆使し、人間の心の中のメカニズムを明らかにするところ。今どきの学問である。著者が文化心理学を、心を文化と独立する「情報処理マシーン」と捉えていた従来の心理学に挑戦するものと位置づけているのも興味深い。
     
 ちなみに地域による「心の世界地図」は次にように分類される。西洋は独立性、東アジアは他者中心的協調性、南アジアは議論・弁論による協調性、中東・北アフリカは自己主張的協調性、ラテンアメリカは自己表出型協調性である。
     
 また日本人はネガティブな出来事を重要視し、米国人は肯定的な結果により多くのウエイトを置く。SNSは米国の方がよりポジティブな空間である。だからこそネ、ガティブなツィートにより強く反応しリツイートする確率が高まる。また東アジアの人は、対象だけではなく。対象が置かれた文脈までも含めて理解をするというのも、よく分かる。

書籍情報

文化が違えば、心も違う?〜文化心理学の冒険〜

北山 忍、岩波新書、p.238、¥1034

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。