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横田英史の読書コーナー

イノベーション全史

木谷哲夫、BOW&PARTNERS、中央経済

2024.7.31 10:43 am

　大上段に構えたタイトルの書だが、内容が粗く、必ずしも実体が伴っていないのは残念である。中身も借り物の言葉が並ぶだけで、著者の主張が見えてこないし新規性にも乏しい。筆者はITや半導体などイノベーションの本丸とも言える分野に弱いのか、記述に誤りが多いのも少々気になる。冒頭で、松下電器産業を松下電機、Advanced Micro DevicesをAdovanced Micro Devicesと記述するなど、いきなり味噌をつけるのも頂けない。編集者を含めて反省すべきだろう。
　　　　　
　ちなみに筆者はマッキンゼー出身の京都大学特定教授。京都大学でアントレプレナー教育を担当しているらしいが少々心配である。少なくとも本書からは筆者の真価が見えてこないのが惜しい。イノベーション関係の必読書を14冊挙げているが、この部分はそれなりに参考になる。

書籍情報

イノベーション全史

木谷哲夫、BOW&PARTNERS、中央経済、p.392、¥3080

横田英史（yokota@et-lab.biz）

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル（現日経BP社）に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT（現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会（JASA）理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

＊本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。