第6回 セミナのプロマネって大変?

今回の「SESSAMEの愉快な仲間たち」は、ブラザー工業株式会社の稲葉 道夫さんです。
稲葉さんは、昨年開催したSESSAME中級セミナのプロマネとして、セミナ方向性の検討からセミナ開催までを仕切った方です。

今回は昨年の中級セミナを振り返りつつ、今後のSESSAME教育や組込みエンジニアのキャリアなどを聞き出したいと思います。

 

渡辺

稲葉さん、よろしくお願いします。

稲葉

こんにちは、渡辺さん。よろしくお願いします。

渡辺

早速ですが、昨年開催した中級セミナは評判でしたね。さすが稲葉さんって感じでした。中級セミナ全体を通してのポリシーを教えてください。

稲葉

ありがとうございます。最初はね、講義名だけが教材もないまま三つほど決まっているような状態だったんです。担当も私を含めて3人だけでね。半年のプロジェクトなんで、人集めと、セミナのテーマ決めと、受講者像の構築が緊急の課題でした。

 

ポリシーと言うのかどうかは分かりませんけど、受講される方それぞれが何か少なくとも一つは持ち帰ってくれるようにしたかったので、どんな人に受講してもらうか、それぞれ関心事やレベルが違う人たちに何を提供できるかを、がんばって議論しました。全員の方に満足してもらえたとは思いませんが、アンケートで多くの方から前向きな意見をいただくことができたので、まずは成功だったかなと思っています。

渡辺

私は1日目に参加できなかったのですが、2日目のレビュー演習は画期的でしたね。

稲葉

ええ、学芸会を思い出しました(^^)。これでも昔は主役はってたんだけど。今回はヒール担当で気合入れました。とっても楽しかったです。癖になりそう。ご覧になった方、あくまで演技ですからねー。
アンケートでの評判も良かったですよ。最初は座学ばかりだったんです。でも二日間座学を詰め込むと、皆さん、確実にオーバーフローしてしまいますよね。演習や実演を入れたいねという話に自然になりました。でも、これがなかなか難しいんですよ。演習の作成にはずいぶん苦労しました。教えたいことはたくさんあるんですが、それを上手に表現して形にするのはやはり難しい作業ですね。
座学の内容を反芻してもらう事を目的に演習を計画したんですけど、まともにやるととても時間が足りない。課題の設定だけでほとんどの時間を使ってしまうんです。もっと演習の時間をとって欲しかったという意見もたくさんいただいたので、今後のセミナに生かせればと思います。

   

渡辺

現在、2005年に開催する中級セミナを企画検討中です。今回は他の方がプロマネですよね。中級セミナのプロマネをするうえでのアドバイスなどあれば、教えてくださいな。

稲葉

プロマネとしては細部にこだわらず、根幹を譲らないことかな。ディテールについては各担当者にこだわりを発揮してもらいましょう。そして、目標を定めたらあきらめずに突き進んで欲しいなと思います。これは自分の反省も含めてなんですが、普段の仕事と比較して自由度がずっと大きいので、目標をはっきりさせておかないと迷走してしまいます。当たり前のことですが、その辺りをすこし意識して進めていただければと。ずいぶん偉そうなこと言ってますね、スンマセン。

渡辺

またまた話は変わりますが、前に紹介してもらった『ブラザー社員のblog』。すごく面白いですよね。
手差しフィーダーの制御ソフトネタなんて、涙もの。こうやって、組込みソフトウェアがこだわりを持って活躍しているあたりが、どんどん表に出てくると嬉しいです。
稲葉さんの理想とする組込みエンジニアの人材像とかありますか? さっきのblogにあったように、細部にこだわりを持ち妥協しない人とか。今、ETSSで悩んでいて...

稲葉

やっぱりなんと言っても、エンジニアであることを楽しんでいる人ですね。これにつきると思います。楽しみ方も人それぞれなんだなってブログを見てると思います。
組込みに限ったことではありませんね。ごめんなさい、一般論になっちゃって。渡辺さんのような人...って言って欲しい?

渡辺

俺は今、エンジニアじゃないし... (T.T) まぁ、組込みに関する人達は楽しんでいる人が多いことは確かですね。
最後に、今後の組込みソフト業界やエンジニアに一言お願いします。

稲葉

最近、組込みという言葉を見かける機会が多くなりましたね。でも、この言葉に含まれる意味は人によって解釈がまちまちで、どんな業界なのかまだはっきりイメージできる状態ではないと思います。特性の違う商品、技術がたくさん含まれるからだと思いますが、それでも今後はETSS策定などをきっかけとして、組込みという一つの大きな業界として認知されていくのではないかと期待しています。その分、エンジニアの責任もますます大きくなっていくでしょうから、妥協しないものづくりを実践できるように皆さんと協力していきたいなと思っています。

渡辺さん、責任重大ですよ。がんばってくださいね。

渡辺

はぁーい。がんばります。稲葉さんも、ものづくりの現場で妥協しないでがんばってください。ご活躍を期待しております。
インタビューは以上です。
ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

バックナンバー

>> 第1回 2004年は"組込み元年"。皆さん一緒に盛り上がりましょう!!

>> 第2回 文献ポインタ集に魅せられて

>> 第3回 未踏ソフトウェア創造事業とベンチャー育成と。

>> 第4回 テストでワクワク。陽気で前向きなテスト屋

>> 特別編 渡辺のぼるの夏日記 2004.

>> 第5回 仙人、SESSAMEセミナーの地方巡業を語る。


渡辺 登

1986年、沖通信システム(株)に入社。加入者線装置,中継/伝送装置,PHS,携帯電話機などの組込みソフトウェア開発に従事。
リックテレコム社の情報処理(ネットワーク)試験対策本解説執筆や社内講師なども手掛ける。
SESSAMEでは、組込みソフトのスキル標準作成に関する草案作成とモデレータを担当。この流れから、経済産業省の"組込みソフトウェア開発力強化推進委員会準備会"に参画。
自称:組込みソフト・スキル標準エバンジェリスト。
特技はサッカー。しかし、プレー中に左膝前十字靭帯の切断により現役生活に幕を降ろしている。
メールアドレス:noboru2000gt@yahoo.co.jp