イベント・リポート NO-13
SEMICON Japan 2004
2004年12月1日-3日 幕張メッセ

リポータ : EIS編集部 中村

2004年12月1日から3日間にわたってSEMICON Japan 2004が幕張メッセで開催された。最近、ディジタル家電市場の停滞などの影響から、「踊り場」を迎えている半導体業界だが、2004年全体では予想以上に好調だったということができ、300mmウェハーや、90nmプロセスに対応した最先端製造装置の導入も進んでいる。これを反映して、このSEMICON Japanにも連日、多数の来場者が訪れていた。主催者発表では、3日間の総来場者は前回をさらに上回る、108,000人以上にも達したとのこと。このイベントに来て毎回思うことだが、日本で半導体製造装置の選定や購入に権限や責任を持っている人の数はかなり限定されているにもかかわらず、この展示会への来場者は驚くほど多い。これは、来場者の殆どが競合他社の動向の把握を目的にして来場している半導体製造装置メーカの関係者なのかもしれないが、いずれにしてもこの産業を支える裾野は、我々の想像を超える広さになってきたようだ。我々、組込みシステム業界にとっても、半導体製造装置は、ボード・コンピュータのベンダなどを中心に非常に重要な市場になっていることは間違いない。限られた時間ではあったが、今回も組込みシステム屋の視点から見て、目立った出展者や商品、サービスを探してみた。

何とFPGA評価システムが・・

 

まず最初に小生の目に留まったのは、各種のデータ収集、計測システムを供給している、ナショナル・インスツルメンツ社のブースにあったFPGA評価システムだった。このシステムは、同社の計測、データ収集用ハードウェア・モジュールとソフトウェアを組み合わせた応用製品のようだ。Semiconの来場者の中にもFPGAの設計に手を染めている技術者がいるということを意識した展示などだろうが、Semicon JapanでFPGAの評価システムに出会うとは思わなかった。

日本NIのブースで発見したFPGA評価システム

Semicon JapanでもZIPC

組込みシステム開発では、開発期間の短縮を実現するために多くの新しい設計手法が導入されつつあるが、この会場でもちょっと見慣れたパネルが展示されていたのに気がついた。それは組込みシステム関連の展示会などではすっかりお馴染みとなった、キャッツ株式会社の上位設計ツール、ZIPCのパネルだ。このパネルは、半導体製造ラインのオンライン化を実現するツール、DVCfai(Φ)製品を提供している日本工営パワー・システムズ社のブースに展示されていた。日本工営パワー・システムズは、半導体工場のオンライン化を実現するソリューションを提供しているが、ZIPCはその上位設計入力ツールとして使用されている。Semicon JapanでもZIPCに出会ったことで、このツールが幅広く市場に認知されていることを改めて認識させてくれた。恐るべし、ZIPC!

 Semicon Japanでも出会ったZIPC

製造ラインの自動化の実現

組み込みシステム機器の企業も手掛けることが多い半導体製造ラインの自動化でいえば、いくつかの業界標準バス規格団体が出展していた。日本プロフィバス協会もそのひとつ。同協会は、1980年代にドイツで誕生したPRO FIBUSの普及促進を目指す日本のNPO法人。Semicon JapanではPRO FIBUSの利点と特徴を示す共に、会員企業どおしの機器をネットワークに接続して動作させるデモなどを比較的大きなブースで見せていた。

 

日本プロフィバス協会のブース

 

 

一方、例年、このイベント参加している明電舎が、半導体工場の自動化を支えるPC/AT互換の産業用コンピュータなどを今年も展示していた。PC/AT互換の明電舎に対して、日本の組込み業界を牽引するリーダ企業の1社として挙げられるエルミック社は、GEM通信ソフトウェア作成用パッケージと共に、かつて日本を席巻したNEC のPC 9800互換の産業用コンピュータ、INHERITORを前回同様に展示していた。同社のよれば、日本のFA業界では、PC9800互換コンピュータの需要がまだまだ続きそうだとのこと。大昔に開発したソフトウェアを今後も継続して使用したいユーザーが多いためなのだろう。

 

明電舎のブース

 

エルミック社98互換機のパネル

新たなビジネス、サービス

このイベントには、半導体業界向けのサービスを提供している企業も多数、出展しているが、神戸製鋼所傘下でテスト・サービスを提供していたジェネシス・テクノロジーが、「フル・ターンキー事業モデル」の看板を掲げて出展していた目に留まった。これは、半導体のデザインから、製造、組み立て、テストまでを一貫して請け負う、いわゆる「半導体のゼネコン」に相当するビジネス・モデルを目指すものだ(参照:「中村正規の半導体業界を語る 第14話」)。同社は従来からのテスティング・サービスに加えて、コベルコLSIデザイン社から営業権譲渡を受けて半導体設計の分野にも進出している。これに伴って、同社は、ファンダリと組み立ての工程を外部の提携会社に委託することで、設計から製造、テストまでを結ぶ、フル・ターンキー・ビジネスを狙うようになったようだ。このビジネス・モデルで業界に参入した企業としては、米国のeSilicon社が有名だが、果たして、このビジネス・モデルが日本にも定着するのであろうか? 同社の今後のビジネス展開に注目したい。

また、半導体デザインの受託設計を主力業務としている富士通LSIテクノロジ社のブースでは、同社が提供するもうひとつのサービスの柱である、生産製造ISソリューションとして、歩留まり解析サービスのパネルを展示していた。確かに同社には富士通で多くの経験を積んだプロセス技術者が多数在籍していると推定され、歩留まり改善についても多くのKnow-Howを蓄積しているのだろう。富士通系列の同社が、富士通以外の半導体企業から、このようなサービスを受注できるのかどうか? この点にも大いに注目しておきたい。

 

ジェネシス・テクノロジー社が示したパネル

 

富士通LSIテクノロジのブース

ソケット・ベンダ

この他、今年のSemicon Japanには、例年以上にソケット・ベンダの出展が増えたような気がした。LSIのピン数の増加とBGA/CSPへの移行、使用される信号周波数の上昇によって、新たなLSIソケットの需要が生まれているからなのだろう。今年の展示会には、山一電機の他、エンプラス、エスイーアルなどの各社が最新のソケット・ソリューションを展示していた。このうち、エスイーアル社のブースでは、自社製品のすぐれた高周波特性をスミス・チャートなどで示すデモを行っていた。

 

エンプラスのブース

 

SERのブースでのデモ

牧本氏の基調講演

この会期中、幸いにもソニー顧問の牧本次生氏による基調講演を聴講することができた。
立ち見もでる満員の聴衆を前にして牧本氏は、半導体業界では標準品とカスタム品の波が10年周期で訪れるという例の「牧本ウェーブ」を含め、これまでの半導体業界の流れと現状を解説し、これからの業界で重要になる技術などを大胆に予測してみせた。この中で、牧本氏が現在のディジタル家電に続く半導体の有望市場に「ロボット」を挙げていたことと、次世代の半導体デバイスではField Programmabilityの機能が重要になると語ったことが小生には印象に残ったのだが、10年先よりも2005年の半導体業界がどうなるのか?がちょっと心配である。
<終わり>

バックナンバー

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