組込みシステム業界では、ここ数年、システムの大規模化や複雑化、機能安全、開発コスト削減、アジア圏を中心に拡大するグローバル市場への対応などに追われてきました。
その結果、海外企業へのアウトソーシングや開発拠点の海外移転、新しい開発手法とツールの導入などが進展してきました。そこにAndroidが登場したことで、従来からの業界の構造や勢力地図がさらに大きく変化しつつあります。EISでは、これらの状況を「組込み開発新時代」と捕え、組込み開発関連企業の事業責任者に今後の対応やビジネス戦略をうかがいます。また、このシリーズを通じて新しい会社や隠れた有望企業などを紹介したいと思います。


第1回
ニューラル株式会社
制御システム部 マネジャー
金田一 勉さん



ニューラル株式会社 ホームページ
http://www.newral.co.jp


──本日はよろしくお願いします。まずは、最初に貴社の事業概況をご紹介頂けますでしょうか?

ニューラル、金田一さん:
当社は1998年に創立され、東京の立川を拠点として今年で14年目になります。
組み込み系FATファイルシステムと、ハイブリッドOSであるBi-OS(Linux+ITRON)を製品として販売しています。社員17名で、組み込み系ソフト販売、受託開発、技術者派遣(特定派遣)を主に行っており、年商1億2千万円になります。最近では、組み込み系開発に関するコンサルタントや教育も行っており、技術者を学校やメーカに派遣することもあります。
組み込み系FATファイルシステムはRTOSにバンドル販売されていることもあり多くのお客様で採用されています。また、最近Linuxが組み込みシステムに多く採用されていることもありハイブリッドOSの注目も高くなっています。
受託開発と技術者派遣は大体半々になっており、受託開発としては最近の傾向はLinuxのアプリケーション開発が多くなっています。
協力会社との連動性も高くなっており、弊社の技術者だけでなく、協力会社の技術者も含めて、お客様のニーズに合わせた技術者を提供できるようにしています。

──組込みシステムの複雑化、大規模化などで技術者のスキルアップが必須になってきていますが、貴社ではどのような対応をされていますか?

ニューラル、金田一さん:
弊社で販売しているソフトウェア製品の数は他社と比較して少ないと思います。
弊社では技術者1人1人がプロフェッショナルになれるよう努力しています。技術者が持っている技術、人柄がお客様に気に入っていただき、それにより契約延長やリピートオーダが多く、お客様と密接な関係になっています。
社内では頻繁にセミナを行い、技術者のスキルアップを図っています。レクチャだけでなく、試験を行い、上級技術者がマンツーマンで若い技術者の育成を行っています。

──ハイブリッドOSのプロモーションや販売活動はどのような形で行っていますか?

ニューラル、金田一さん:
弊社で販売しているハイブリッドOSであるBi-OSの販売にあたっては、お客様に対し製品の説明だけでなく、1つのCPUで2つのOSを動作させるハイブリッド技術の解説も行っております。
お客様にどのような仕組みになっているかを理解していただくことで、ハイブリッドのシステムを採用する場合の注意点や活用方法などを予め理解していただくようにしています。
ハイブリッドOSについては、製品の販売だけでなく、お客様に合わせてハイブリッドOS環境を構築することも行っております。

──最近の日本における組込み開発の動向をどう見ていますか?

ニューラル、金田一さん:
組み込みシステムは、機械制御だけでなくインフラに関わるものからFA、OA、自動車、家電、ホビーなど様々なシステムや機器に関わっています。組み込みシステムには数多くのメーカがあり、またハードウェア/ソフトウェア開発会社が関わっています。
最近では、多くの大手メーカが海外に生産拠点を移しています。
「日本の技術者でしかできないこと、日本でしか生産できないことは何か?」
それは、「アイディア」と「技術力」そして「摺り合わせと協調」だと思います。
システムや製品の企画・開発を行う際に、正確なメイキング・ルートが定義できることは稀です。その際に、技術者が協力し合い、目標に向かって進む形が日本の組み込みシステムの開発ではないかと思います。
弊社は、お客様に対し改善策・問題提起などができるよう要求仕様を理解し開発を行うようにしています。

──貴社が今後、注力される技術領域、事業展開などを教えてください。

ニューラル、金田一さん:
弊社では、Androidに注目しています。積極的に外部セミナに出席し、情報を収集し、社内で実際にAndroid OSの実装やAP開発などを行い、技術を高めています。
お客様と一緒にAndroid関連のプロジェクトに関わり、お客様と共にスキルアップし、今後もお客様のニーズに答えられるよう努力しております。
Androidだけでなく、社内の上級技術者が持つ技術を若い技術者に伝授し、常に技術のスキルアップを行い、技術者の1人1人がプロフェッショナルなるよう目指しています。

──本日はご多忙のところ有難うございました。貴社のご活躍をお祈りしております。

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