ドライバー体験を豊かにする4つの技術トレンド

交通安全を推進する米国の非営利団体、AAA Foundation for Traffic Safetyの調査によると、米国成人ドライバーは一日当たり最大58分を車内で過ごすそうです。このため、ドライバーが通勤や渋滞に割く車内での時間をより楽しく過ごしたいと思うのは自然なことです。自動車メーカーは、ドライバー体験を豊かにするために絶えず多くの機能を搭載しています。ここでは、触覚的なフィードバック機能のあるタッチスクリーンや、ノブの代替品、スマートガラス、ドライバーへの通知アプリケーションなどの革新的な機能について紹介します。

 


ハプティック・タッチスクリーンを搭載

 

 インフォテインメント用タッチスクリーンには、ボタンを正しく押したかどうかのフィードバックを触覚的に確認できる機能がないものもあります。このハプティック・フィードバック機能を内蔵するスクリーンは、ドライバーがセンタースクリーンを見ている総時間を減らすことで、運転中の安全性を高めることができます。タブレットやスマートフォンに見られる一般的なハプティック・フィードバック機能は、まだ十分ではありません。フィードバックの強度が、運転中に生じる道路やエンジンの振動に勝る必要があるからです。

 

強いフィードバックを得る方法の一つがTIの『DRV251x-Q1』ソレノイド駆動ICファミリのようなソレノイド駆動ICと一つ以上のソレノイドを一緒に使うことであることを、多くのエンジニアは理解しています。複数のソレノイドでフィードバック機能を提供することは、リニア共鳴アクチュエータ(LRA)や偏心回転質量(ERM)、圧電素子など代表的なアクチュエータを使うのとは違います。8インチのインフォテインメント・スクリーンのような大きな質量の物体を押すソレノイドを駆動するためには、大電流の駆動能力を持つデバイスが必要です。駆動ICの『DRV2511-Q1』は、ソレノイドを充電するのに必要なピーク電流が最大8Aまで供給できます。

 

図1は、15Vで代表的なソレノイドを駆動するのに必要な電流を示していますが、そのピーク電流は2Aです。動かす物体の重さにもよりますが、ソレノイドは最大6A以上のピーク充電電流が求められます。

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図1 ソレノイドの加速グラフ(加速度)=5.85G/div、電流=2A/div、電圧=5V/div


ノブの代替

 

 従来のノブを新しいハプティック対応デバイスに置き換えると、自動車メーカーはクルマのダッシュボードの寿命を延ばしながら、費用を節約することができます。TIはCESにおいて、ノブを構成する機械的な部品の代わりにハプティックなフィードバック機能を搭載できるデモを展示しました。このソリューションもまた、ソレノイドとその駆動ICの『DRV251x-Q1』 ファミリを使っています。

 

TIは、容量式タッチセンサをノブのデザインに搭載して、ハプティック・ノブ用のフィードバック・ループ機能を完成させるリファレンス・デザインを開発しています。ノブは固定されたままですが、ユーザーがノブの周りを指でスライドさせるにつれ、ソレノイドが起動し、シャープなクリック感を提供します。このフィードバック機能のおかげで、機械式ノブと寸分変わらない印象になります。図2は、3Dプリンタで作った試作ノブの表面と裏面の様子です。
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図2 3Dプリンタで作ったソレノイド・ノブ


スマートガラス

 

 クルマのウィンドウの色の調整においても、技術革新が起きています。ガラス材料の進展と共に、電気の技術でもって、ウィンドウの色の調整が可能となりました。高電圧ピエゾ・ドライバを使えば、ドライバーは時間帯や気分に合わせて、ガラスの色の濃さを調整できるようになります。『DRV2700』ピエゾ・ドライバは、USB電力レベルを供給しながら色付きのスマートガラスに必要な高電圧を出力します。この『DRV2700』は、105Vpを出力する昇圧コンバータを集積し、静止時の電流は24mAです。マイコンと併用すれば、『DRV2700』は明るい状態から暗い状態へ色を変えられるカスタム仕様のガラスを提供します(図3)。スマートガラスのこのアプリケーションは、ドライバーがカンカン照りの日にクルマを置いたままにした際に、フロントガラスを暗くしておくことができるようになります。

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図3 色を変えたガラスの比較画像


ドライバーへの通知機能

 

 ドライバーへの通知機能も広く搭載されるようになりました。これらの通知機能はハンドルや運転座席で見られ、ほかのクルマが死角に入った時や、予期せずレーンを越えた時にドライバーに警告します。通常、強力なERMが強い振動感のあるハプティック・フィードバックを生成します。『DRV2605L-Q1』は、ERMを駆動し、様々な効果を出す波形ライブラリを集積しています。これにより、音や振動が次第に大きくなったり、断続的であったり、長さが異なったりといった、柔軟性に富んだ通知方法でドライバーに警告します。TIのデモカー「EvoCar」(図4)では、座席とハンドルに搭載した様々な通知機能を紹介しています。

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図4  TIのEvoCar


これまで4つの異なる特徴を述べてきましたが、TIはドライバー体験に基づいて、より多くのことをドライバーが得られるように、開発を続けています。ノブの交換コストを下げたり、製品寿命を延ばしたり、あるいはドライバーのプライバシー保護を強化するためのスマートガラスの搭載など、新しい車載アプリケーションの設計のためのソリューションを提供しています。TI Designライブラリに多くの車載リファレンス・デザインが掲載されていますので、そちらもご覧ください。

 


・参考情報
 -ハプティクス・フィードバックによる設計
 -TIトレーニング:電気システムがアクチュエータに適合する理由
 -ブログ(英語)
 -ハプティクス・フィードバックを選択する際に考慮する8つの点:part1
 -ハプティクス・フィードバックを選択する際に考慮する8つの点:part2
 -リニア・バイブレータの機能
 -ハプティクス・ドライバ


・お問い合わせ先
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
E2E 日本語コミュニティ(http://e2e.ti.com/group/jp/

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