ロボコンで世界の頂点へ!“明日の創造者たち”を育てるWRO Japanの挑戦

学生対象の国際ロボコンWRO Japan決勝大会開催、11月国際大会への出場チームが決定

世界の小中高校生を対象とする国際的なロボットコンテスト「WRO(World Robot Olympiad)」。その全国大会となる「WRO 2014 Japan決勝大会」が9月21日(日)、神奈川工科大学(神奈川県厚木市)で行われた。
各地区予選会を勝ち抜いた小中高チームが競い合い、各部門の優秀チームは11月に開催される国際大会に出場する。今年の国際大会は、2月に冬季オリンピックが開催されたロシア・ソチが舞台となる。

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今春完成した神奈川工科大学のKAITアリーナが決勝大会の会場となった。WRO Japanは、科学技術振興機構(JST)の国際科学技術コンテスト支援事業・支援コンテストにもなっている

 

カラーセンサーで見つけた黒いラインに沿って進み、障害を乗り越えボールやブロックをつかみ、指定された位置に運ぶ…。今春完成した神奈川工科大学のKAITアリーナでは、児童や生徒たちがプログラミングした自律型ロボットの一挙手一投足に熱視線が注がれた。

 

今年で11回目となるWRO Japan決勝大会には、約1200チームが参加した全国34ヵ所での地区予選会から100を超える優秀チームが一堂に会し、持ち得る技術を競い合った。

 

1チームの編成は、小中高それぞれコーチ(20歳以上の大人)1名+選手2~3名(児童・生徒)で、会場に入ればコーチは見守り役だ。選手として出場する我が子を応援する親に交じって、カメラを回しながら外からチームに声援を送る。
子供たちは、チーム仲間とアイデアを出し合い、与えられたミッションをクリアすべきロボットに仕上げ競技に挑む。課題をクリアするごとに、ちょっと控えめにリアクションする子供たちに比べ、コーチや親のほうが興奮気味に声を上げたりガッツポーズをするのはご愛嬌。主役はあくまで子供たちのロボコンだ。

 

 

国際大会でも歴史に名を刻むWRO Japanチーム

WROは“教育的なロボット競技への挑戦を通じて、創造性と問題解決力育成を”との目的で、2004年に始まった国際ロボコン。アジアを中心とした13ヵ国・地域(4,468チーム)だった参加国が、今年は50ヵ国・地域に拡大、チーム数はおよそ20,000チームに及ぶという(国内大会を運営するNPO法人WRO Japanの報告から)。

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WRO第1回国際大会から2013年の第10回大会までの参加国・参加チーム推移。今年は50ヵ国地域・約20,000チームに拡大、選抜された約350チームが世界一を競い合う(公式パンフレットより抜粋)

 

日本は第1回からの参加国で、2008年の第5回国際大会では開催国にもなっている(会場は神奈川県・パシフィコ横浜)。国際大会での実績も、2006年第3回南寧大会での銅メダル(レギュラーカテゴリー・中学生部門)を皮切りに、2007年第4回台湾大会、2011年第8回アブダビ大会で金メダル(いずれもレギュラーカテゴリー・高校生部門)を獲得するなど、メダル獲得・上位入賞チームを多数輩出し、その歴史にしっかりと名を刻んできている。

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2013年の第10回ジャカルタ大会では、レギュラーカテゴリー・中学生部門で銀メダルを獲得。素材提供:NPO法人WRO Japan

 

“宇宙”をコンセプトテーマにルールを設定

WROの競技は、小中高それぞれに課せられたロボットのミッションに挑戦するためのプログラミングを競う「レギュラーカテゴリー」と、決められたテーマを研究し作り上げたロボットのプレゼンテーションをチームで行う「オープンカテゴリー」に大別される。

 

レギュラーカテゴリーは、エンジニアの研修や学生向けの教材として幅広く使用されているレゴ社の教育用ロボットキット、レゴ® マインドストーム®を用いる。競技ルールは毎年、小中高ごとに世界共通のルールが決められる。今年は、国際大会の舞台となるロシアに関わりの深い“宇宙”がコンセプトテーマになっている。

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開始を待つレギュラーカテゴリー競技コース。小学生競技は「ロケット」、中学生競技は「スプートニク」、高校生競技は「Space Station」が競技テーマだ

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レゴ マインドストームの新製品「EV3」も今年から登場。CPUはARM9、OSはLinuxを搭載。従来のタッチセンサー、カラーセンサーに加え、新たにジャイロセンサーが追加されている。素材提供:NPO法人WRO Japan

 

加えて「サプライズルール」と呼ぶ、当日に追加発表されるルールを取り込み、各チームは120分設けられたロボットの最終セッティング(組み立て・調整)に取り掛かる。この時間から競技はスタートしたようなもので、ここでも子供たちだけで本番での対応力、適応力が試されることになる。

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組み立てられたロボットに透明のボックスをかぶせサイズをチェックする車検の様子。20cm四方に納めなければ競技参加できない

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ピットに待機するロボット。同じ競技でもアームなどにチーム独自の工夫が施され、特徴がわかる。

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レギュラーカテゴリー競技の様子①

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レギュラーカテゴリー競技の様子②

 

計2回の競技の後は、作成したプレゼンシートを用いロボット設計やプログラムのアイデアを発表するプレゼン審査があり、ここでの内容も評価対象となる。

 

なおレギュラーカテゴリーには、国際大会の選抜はないものの、エントリークラスのチームを対象としたベーシック競技が昨年から加えられている。また今年は大学生対象のカレッジカテゴリーも新設され、さらに裾野の広い大会へと進化している。

 

 

創造力とプレゼンテーション力を育むオープンカテゴリー

オープンカテゴリーの今年のテーマは「ロボットと宇宙(Robots and Space)」で、“人類が宇宙で様々な作業をこなす助けとなるロボットを設計、製作せよ。”とのミッションが与えられた。


このミッションを遂行するロボットを自由な発想で設計し、会場では3名の審査員を前にロボットのデモンストレーションとプレゼンテーションを行う。審査はプログラミングや工学的デザインといったロボットへの評価に、プレゼンテーション内容、チームメンバーの参加度合いやチームスピリットを問うチームワーク力など、5カテゴリー19分野によって採点される。

 

審査員からは「アイデアはいいんだけど…」とプレゼンテーション力にダメ出しされたり、「こういう工夫をすればもっと良くなる」と具体的なアドバイスがなされたり、プレゼンと質疑応答の計10分間、子供たちの緊張が緩むことはない。

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審査員を前にプレゼンテーションを行う小学生チーム。発表後の質疑応答では、審査員から容赦ない(?)ツッコミが入ることも。

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高校生チームには宇宙人のコスプレも登場。成りきったパフォーマンスも、プレゼン力を高めるには効果的だ

 

審査の厳しさももっともで、一歩先に行くと競合ひしめく世界が舞台。国際大会では、プレゼンテーションも英語で実施する。中高生ならまだしも、小学生には高いハードルか?と思いきや、2012年の第9回クアラルンプール大会では小学生部門で銅メダルを獲得したチームもいて、“お見事!”というほかない。

もちろん、そこに至るまでに並々ならぬ熱意や努力があったことは言うまでもないだろう。

 

 

客席から決勝大会を観戦した子供たちの中には、プログラミングやロボット設計に興味を抱いた子がいたことだろう。近代オリンピックでは“参加することに意義がある”という有名な言葉があるが、同様に「オリンピック」の名を付すWROにも、そのまま当てはまる言葉といえそうだ。

 

2014年の第11回ソチ大会は、11月21日(金)~23日(日)に開催される。出場チームには悔いのない達成感が得られることを期待したい。

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(樋口泰光)

 

■WRO Japan 公式サイト
http://www.wroj.org

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