アナログ・デバイセズが見据える「IoT」「5G」へのアプローチ

50周年という節目となったAnalog Devices(ADI)の2015年度は、前年比20%増の売上を記録した。弾みをつけて挑む2016年にフォーカスしたのは「IoT」「5G」の市場だ。

2016年の事業戦略を説明するアナログ・デバイセズ馬渡修社長

アイルランドの南西に位置するリムリックという町に、Analog Devices(ADI)の2つあるファブのひとつとなるリムリック工場がそびえる。ここは、アナログ8インチCMOSの拠点だ。およそ450万平方メートルと、東京ドームに匹敵する広さを誇る従業員1000人規模の巨大工場だが、ここではいまスマート・ファクトリー化が推進されている。

 

「アナログをやっているくらいだから比較的古く、処理工程やいろいろな機器が複雑に入り混じり生産性はあまり良くなかった。そこで工場の生産効率を上げようということでIoTを導入した」とADI日本法人であるアナログ・デバイセズ代表取締役社長の馬渡修氏は話す。

 

2月17日に都内本社で開かれた2016年度事業戦略説明会で紹介されたものだ。2016年は継続して「産業・計測」「通信インフラ」「オートモティブ」「ヘルスケア」「ライフスタイル(コンスーマ市場)」の5つの市場に注力していくが、それらの市場に対し横断的注力テーマとして掲げたのが「IoT」「5G」である。

 

リムリック工場のIoT化は、「お客さんに技術を紹介するだけではなく、われわれ自身がIoTに取り組み実践することから始めた」とし、IoTマーケットにおける同社の意気込みを体現したものともいえる。

 

IoTの処理プロセスを整理すると、物理現象の検出・計測・データの情報化・伝送・分析となるが、すでに同社は多彩なセンサからADC、DAC、プロセッサ、インタフェースといった技術力を有し、各領域をカバーすることが可能だ。

IoTの領域をカバーするADIの製品群 ※画像クリックで拡大表示

 

具体的なアプローチとしては、機器の状態をウオッチし不具合の検出、未然な予知を実行するソリューションの提供を見据えている。

 

「ポンプやファン、ギアがある機器で例えると、バランス崩れやコンポーネント部品の共鳴、ギアやベアリング異常などさまざまな異常をきたす要因がある。わずかな振動を感じただけでは何をどうしたらいいかわからない、それが原因でどこかのタイミングで熱が出てマシンが止まるかもしれない。それを機器の正常な状態からウオッチし、アルゴリズムやデータ解析で“この信号が出たときにはこれくらいで止まる、だからこういう対処をする”といった予知防止がわれわれの考えるアプローチ」と馬渡氏は説明する。

 

ただIoT処理プロセスの中で、情報化・分析領域はまだ十分ではなく、強化ポイントのひとつと捉えている。

また、クラウドサービスも視野に入れており、クラウド上の様々なデータの見える化を設計するプラットフォーム「ThingWorx」を保有するPTCと協業してツール提供を計画するなど、サードパーティとの連携も含め「センサからクラウドまで、という方向を目指していく」(馬渡氏)ということだ。

 

5GはIoTの基になる技術

IoT環境では、医療、自動車、さらに家庭も含めアプリケーションが拡大していくことになる。そこでは5Gが必須技術になると同社は捉えている。
5Gは大容量化、高速通信、低遅延化、多数端末との接続、低コスト、低消費電力といったメリットをもたらすと考えられ、「データ転送の不自由さがなくなってくる。こうした使い勝手が主になるだろう」と馬渡氏は説明する。

 

周波数領域で見れば、同社は無線周波数帯のコンバータ技術を中心にビジネス展開をしてきたが、昨年のHittite(ヒッタイト)の買収でミリ波の領域も強化され、5Gに想定される周波数領域をすべてカバーできることになる。

 

5Gはいまアジアがリードしており、「おそらく日本、韓国、最近アグレッシブな中国といったアジア圏から製品化され、実用が進んでいくのではないか」とし、広範な技術力を武器に5Gマーケットを先取りしていく考えだ。

 

また、新たな動きとしては、投資を増やす分野として「スマート・マシン」「スマート・ヘルス」「アルゴリズム/アナリティクス」「インキュベーション」「先進技術」をテーマとした。
従来のフィールドでの先進技術開発に加え、アルゴリズム/アナリティクスではソフトウェア、インキュベーションでは大学との連携など、すでに新しいビジネス展開に歩を進めており、次期節目に向かう同社のチャレンジはすでに始まっている。

 

 

・アナログ・デバイセズ株式会社

http://www.analog.com/jp/

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