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横田英史の読書コーナー

デジタルトランスフォーメーション

ベイカレント・コンサルティング、日経BP社

2019.3.1  10:58 am

 流行りのDX(デジタルトランスフォーメーション:デジタルによる変革)について、事例を交えながら、コンサルタントらしく要領よく解説した書。頭の整理に役立つ。DXへの反応の鈍い日本企業に警鐘を鳴らし、なぜデジタル時代への対応が遅れたのかを分析するとともに、デジタル時代に乗り遅れた企業の末路を予想する。会社のデジタル化の進め方やビジネスモデルの再定義の必要性についても論じる。ただしコンサルの書籍らしくキレイに描かれていて、現場感がイマイチである。

 カスタマーエクスペリエンス、デジタルマーケティング、オープンイノベーション、IoT、ビッグデータ、デザイン思考など、キーワードは一通り揃っている。知識としてDXを知りたい方に向く。日本のユーザー企業とベンダーとの関係や、CIOの機能不全、ITに関する研究開発機能の不足など、日本企業が抱える問題を解説する。デジタル戦略の構築と実行のための処方箋を書き、そのための組織の必要性を訴えている。

書籍情報

デジタルトランスフォーメーション

ベイカレント・コンサルティング、日経BP社、p.280、¥1944

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。