生産性とは何か〜日本経済の活力を問い直す〜

宮川努、ちくま新書

 日本の生産性底上げが大きな問題となってる。戦後最長の景気回復を達成したものの、日本の潜在成長率は1%程度と低い。その元凶が生産性(正確には全要素生産性)向上の停滞である。本書は分かったようになっているつもりの生産性について、その定義から、生産性を高めることの意味、向上させるための処方箋などについて論じる。話題の生産性を分かりやすく説いた新書でお薦めである。


 筆者は日本が成長できない理由として、政府のまずい政策の数々を槍玉に挙げる。低生産性企業の延命に手を貸し、生産性を向上させるために仕事の仕方を変えようとする活力を失わせ続けてきたと語る。AIなどの技術革新はあるものの、それをビジネスに適用しやすくする制度改革や組織改革がないために、生産性が停滞していると分析する。

 

 デザイン投資やブランド投資、人的資本投資といった無形資産のGDP比率が先進国で最低レベルも経済が停滞する理由の一つと指摘する。ユニークなのは生産性を高めるための方策として、卓球や水泳などで若手の台頭著しいスポーツ界や、インバウンドで興隆する観光の事例を引いているところ。なかなか説得力がある。

書籍情報

生産性とは何か〜日本経済の活力を問い直す〜

宮川努、ちくま新書、p237、¥864

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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