トランプのアメリカに住む

吉見 俊哉 、岩波新書

 社会学者の東大教授が、2017年から2018年にかけての1年間、ハーバード大学の客員教授として滞在したときに見た「トランプ時代の米国社会」を分析した書。滞在中に起きた銃乱射事件や人種差別事件(NFL事件)、セクハラ事件(MeToo運動)、パワハラ事件など数々の事件を題材に、時代背景を踏まえながら論考する。トランプは、米国が長く隠蔽してきた多くの亀裂や根深い問題を白日の下にさらしたというのが筆者の見方である。リベラルな視点からの筆者の分析は、評者には納得できるものが多い。


 筆者は反知性主義で差別意識を煽り、平然と嘘をつくトランプを大統領を否定しながら、こうした人間を大統領として選んだ米国社会の深層に迫っている。私たちの未来は、この米国の現実を見つめることによってしか開かれないというのが筆者の認識である。

 

 このほか筆者は本書で、米国と日本で教鞭をとった経験をもとに、彼我の教育システムの違いについても言及する。日米の大学教育の差は極めて大きく、暗澹たる気持ちになるのは評者だけではあるまい。

書籍情報

トランプのアメリカに住む

吉見 俊哉 、岩波新書、p.256、¥908

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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