選べなかった命〜出生前診断の誤診で生まれた子〜

河合香織、文藝春秋

 出生前の羊水検査における誤診を巡る裁判とその関係者への取材にもとづくノンフィクション。出生前診断で「異常なし」と医師から伝えられたものの、生まれた子どもはダウン症で3カ月で亡くなった。裁判は誤診をした医師と医院に対して母親が起こしたもの。優生保護法下での強制的な不妊手術をめぐる国家賠償請求訴訟も含め、出生前診断の結果による中絶、命の選別という重いテーマを扱う。母親の苦悩、ダウン症の子供と生きる家族、命の選別に立ち会い疲弊する助産師の姿などを描く良質なノンフィクションである。


 本書が取り上げるのは、日本初の「ロングフルライフ(Wrongful Life)訴訟」と呼ばれるもの。誤診によって望まぬ生を受け苦しんだ子どもに対して損害賠償を求めている。医師の過失がなければ障害を伴う自分の出生は回避できたはずと主張して提訴する、損害賠償請求訴訟である。


 このほか筆者は、ダウン症だが日本で初めて大学を卒業した女性や20年以上前に起こされたダウン症児の出産をめぐる訴訟なども取り上げる。

書籍情報

選べなかった命〜出生前診断の誤診で生まれた子〜

河合香織、文藝春秋、p.245、¥1836

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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