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横田英史の読書コーナー

ビットコインとブロックチェーン〜暗号通貨を支える技術〜

アンドレアス・M・アントノプロス、今井崇也・訳、鳩貝淳一郎 ・訳、エヌティティ出版

2018.8.18  10:51 am

 ブロックチェーンに詳しいベンチャーキャピタリストに推薦してもらった書。ビットコインを支える技術を丁寧に説明しており役立ち感がある。ブロックチェーンや暗号理論などを広く深くカバーする。評者の技術レベルだと理解できる範囲は限られるが、何となく分かった気にさせてくれる。索引がきちんとしているので、あとから参照するのに役立つ。定性的なビットコインとブロックチェーンの解説では物足りない方にお薦めである。

 本書はビットコインの歴史から始まり、仕組み、リファレンス実装のインストール法、暗号技術、トランザクション、ブロックチェーン、マイニング、安全性といったテーマにそれぞれ1章を割いて解説を加える。図やプログラムのソースコード、コンパイル方法などを適宜はさみながらワンステップずつ解説しているので理解が進む。本書でかなりのスペースを占めるソースコードが不要な方には、これらを省いたコンサイス版も用意されている。評者などはこちらで十分だったかもしれない。

 巻末におかれた、翻訳者による解説とあとがきが秀抜である。あとがきでは、どの順番で読み進めばいいかを読者層ごと指針を与えてくれる。ここから読み始めるのも悪くない。解説は本文を補完しており必読だろう。

書籍情報

ビットコインとブロックチェーン〜暗号通貨を支える技術〜

アンドレアス・M・アントノプロス、今井崇也・訳、鳩貝淳一郎 ・訳、エヌティティ出版、p.320、¥3996

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。