AI後進国 ニッポンが危ない!〜脱出のカギはディープラーニング人材の育成〜

多田和市、日経BP社

 タイトルは危機感を煽ったトーンで扇動的だが、日経BPの記者らしく、事実に基づいた書き口はいたって冷静で悪くない。筆者はサブタイトルにある「人材育成」、とりわけ企業や業界団体における「ディープラーニング人材の育成」に比重を置いて議論を進め、後進国脱出のための処方箋を書く。ここがAIを扱う類書とは異なっているところだろう。寡聞にして知らなかった事例も多く取り上げており役立ち感がある。なお著者は評者の元同僚なので、知らず知らずのうちにバイアスがかかっている可能性もある。


 筆者は松尾豊東京大学特任准教授の言葉を引用する形で、日本が米中やドイツに遅れを取った要因を2つ挙げる。1つはディープラーニングに強い20代後半から30代前半にかけての人材に意思決定が任されていない点。第2は、ディープラーニングに関する日本語の情報が英語に比べて圧倒的に少ないことである。AIとITとを混同している現状に苦言を呈しているところもいい。

 

 AIに取り組み企業としては、プリファード・ネットワークスのほか、東京大学発のスタートアップ企業のエルピクセル、NEC史上最年少の主席研究員 藤巻遼平氏が設立したドットデータ、大手ではコマツやパナソニック、オムロン、トヨタなどを取り上げている。

書籍情報

AI後進国 ニッポンが危ない!〜脱出のカギはディープラーニング人材の育成〜

多田和市、日経BP社、p.216、¥1512

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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