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横田英史の読書コーナー

カテゴリーキング〜Airbnb、Google、Uberはなぜ世界のトップに立てたのか〜

アル・ラマダン、デイヴ・ピーターソン、クリストファー・ロックヘッド、ケビン・メイニー、長谷川圭・訳、集英社

2018.5.10  10:06 am

 Salesforce.com、VMware、Google、Uberなどが成功をおさめた理由は、新たなカテゴリーを創造し、そのカテゴリーでトップに立ち、トップの位置を維持してきたことだと、シリコンバレーのコンサルタントが説いたビジネス書。古いものを壊してから新しいものを作るのではなく、先に新しいものを作るべきであり、製品やサービスはベターではなく別のもの(ディファレント)であることが重要だとする。クリステンセンの名著「イノベーションのジレンマ」と併せて読むと良さそうだ。本書で紹介されている豊富な事例は参考になる。

 カテゴリーキングとは、それまで存在していたものを時代遅れで、不格好で、非効率で、コストが嵩み、痛々しいものにする製品やサービスを指す。ウィナー・テイク・オールの世界では、それぞれのカテゴリーで生じる利益の大半を占める。

 カテゴリーキングになるには、プロダクトデザイン、企業デザイン、カテゴリーデザインの3つ要素が有機的に機能する必要がある。プロダクトデザインとは、市場が抱える問題を解決する製品やサービスを意図的に作り出すこと。企業デザインとはカテゴリーに合わせた文化や視点をもつビジネスモデルと組織を意図的に作り出すことである。最後のカテゴリーデザインとは、新たな市場カテゴリを意図的に創造し発展させることを指す。

書籍情報

カテゴリーキング〜Airbnb、Google、Uberはなぜ世界のトップに立てたのか〜

アル・ラマダン、デイヴ・ピーターソン、クリストファー・ロックヘッド、ケビン・メイニー、長谷川圭・訳、集英社、p.400、¥2160

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。