教養としてのテクノロジー〜AI、仮想通貨、ブロックチェーン〜

伊藤穰一、アンドレー・ウール、NHK出版新書

 東京駅の丸善、大手町の紀伊國屋書店に行くと本書が大量に平積みになっており壮観である。ビジネスパーソンが押さえておくべき技術キーワードを分かりやすく解説した書として一押しという位置づけなのだろうが、MITメディアラボ所長として“ひと捻り”も加えており単なる啓蒙書とは少々趣が違う。技術の背景にある考え方や哲学に言及し、テクノロジーについて本誌的な理解を促している。同時に最新のシリコンバレーの動きも紹介しており、お得感がある。


 本書の内容は大きく三つのトピックから成る。経済の未来、社会の未来、日本の未来である。経済の未来では、労働と国家、資本主義のページを割き、AIやシンギュラリティ、仮想通貨、ブロックチェーンをカバーする。社会の未来では人間と教育について論じる。日本の未来で言及するのは、日本人と日本社会である。日本の教育について、「入れ替え可能なお利口さんを育てるシステム」「ロボットのような人間を育てようとしている」と、本書評で取り上げた新井紀子の見解と同様なのは興味深い。

 

 筆者は、現在をテクノロジーの端境期と考える。本来は社会を良くするための「情報技術の発展」や「規模の拡大」が自己目的化して、社会の様々な場面で軋轢や弊害を巻き起こしていると見る。イノベーションは、いま身の回りで起きていることに心を開き注意を払ういことから生まれる。フューチャリスト(未来志向者)ではなくナウイスト(現在志向者)になるべきだと語る。

書籍情報

教養としてのテクノロジー〜AI、仮想通貨、ブロックチェーン〜

伊藤穰一、アンドレー・ウール、NHK出版新書、p.200、¥842

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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